院長の健康まめ知識

2017年6月27日 火曜日

汗かき脳を守る人間・・36.5℃の体温は哺乳類一低い!

吉野です。皆さんこんにちは。梅雨前線が活発になり、ようやく梅雨らしい雨が降っています。雨が続くと確かに鬱陶しいのですが、今年の雨はとても貴重です。というのは、4月からの約2か月間、かなり雨量の少ない状態が続いているためです。地域により差はありますが、多くの場所で例年の半分以下しか雨が降っていないのです。少雨傾向がなお続けば、水不足のため農作物の作柄などに影響してしまうかもしれません。

さて私は今月前半の日曜日を利用して、山梨県の増冨温泉へ行ってきました。約7年ぶりの増冨での湯治です。増冨温泉は秋田県の玉川温泉、鳥取県の三朝温泉、北海道の二股ラジウム温泉などと並ぶ数少ないラジウム温泉の一つで、湧出する源泉に含まれるラドン濃度は、ほぼ世界一のレベルとされています。玉川温泉などと伴に、全国各地からガンなど難病の方が多数、湯治に訪れています。
増冨温泉はとても標高の高い位置にあります。甲府から真北方向、長野県境からさほど遠くなく、八ヶ岳に連なる山々の中腹に位置します。最寄り駅は中央本線の韮崎駅ですが、バスの終点であり、韮崎駅から1時間以上もかかります。前回もそうでしたが、湯治客に混じって登山から降りてきたとみられる方々も多く、疲れや筋肉痛を癒しているようでした。

増冨の湯はラドンが豊富なだけでなく、鉄分や炭酸など多くの有効成分が含まれており、ラドンによる「低放射線ホルミシス効果」はもとより、保温効果や血行促進、免疫力向上など様々な効能が謳われています。ホルミシス効果とは、低線量の放射線は体に無害であり、それどころか様々な健康上の効能が認められる現象を意味し、ガンなど難病に対する有効性も、主としてこのホルミシス効果によるところが大です。
さらに増冨の特徴は、湯の「ぬるさ」です。最近ぬるめの半身浴が推奨されていますが、多くは38℃から39℃くらいのレベルです。それに対して増冨のぬるさは半端じゃありません。浴槽が幾つかあり、各々30℃、35℃、37℃の湯が張ってあります。さすがに30℃はぬるすぎる、というより冷たいと感じる程の低温ですが、しばらく入っていると慣れてきて、むしろじんわりと汗が滲んでくるから不思議です。

その大変ぬるい「30℃」の浴槽には10人前後の男性が入っていますが、多くの人は殆んど微動だにせず湯に浸かっています。とてもぬるいので、長いこと入っていても滅多にのぼせる事はありませんが、10分や15分が経過しても殆んど人の出入りがありません。多くの人は30分以上も浸かっており、長い人は1時間以上も入っていると思われました。あっという間に時間が経ち、私も結局50分ほど浸かりました。
さて30℃の次は「35℃」です。当然の事ですが、30℃に比べるとかなり温かく感じます。いわば「温泉らしい」お湯といえますが、さすがに1時間近くも入っていられません。ここには30分ほど浸かりました。続いて「37℃」です。たった2℃の違いですが、いかにも「お風呂」といった感覚です。15分ほど入り、大満足で上がりました。湯治の後、しつこい肩凝りがウソのように解消したのが印象的でした。

増冨温泉を含むラドン温泉、および低放射線ホルミシス効果に関しては、また日を改めて詳しく解説したいと思います。

さて前回のコラムでは、低体温および汗をかけない人が増えてきている事、そのような条件では体温調節に支障を来たし、熱中症のリスクが高くなる事、などをお話しました。すなわち汗をかく事で体に溜まった熱を冷ますことが出来ますが、汗をかけないとそのような「冷却効果」が発揮されず、暑い環境の下で体温が異常に高くなりがちです。そしてそれが嵩じると、熱中症の引き金となってしまいます。
人間の体温は36.5℃前後とされていますが、近年では35℃台もしくは34℃台という低体温の方がたいへん増えています。それと並行して、汗をかく習慣が少ない、なかなか汗をかけない、という人も増加しています。それによる健康上の弊害も深刻さを増しているのですが、なぜ現代の我々は、体温が低くなってしまった、そして汗をかけなくなってしまったのでしょうか。

それには先ず、そもそも汗とは何か、或いは人間の体温は何故36.5℃なのか、という事から考えてみる必要があります。人間にとって汗とは誰でも暑くなれば流す、ごく当たり前の体液ですが、よく観察すると、他の動物は人間ほどには汗をかいていない事に気がつきます。また体温も他の動物、例えば犬や猫、牛、豚、鳥などは人間より軒並み高く、37℃台から41℃台までに分布しています。
すなわち人間は体温が他の哺乳類や鳥類などに比べて例外的に低く、また特別に汗をかく動物なのです。それでは何故、人間の体温は低めであり、汗をたくさんかくのでしょうか。その理由を考える上で重要なキーワードの一つは「脳」です。人間は他の動物に比べて脳を異常なほど発達させ、言語や高度な思考力を駆使し、文明を生み出してきました。その脳を守るために、体温が低めで汗をよくかく、という訳です。

脳は本質的にコンピューターと似て、熱に弱いという性質があります。よく「熱にうなされてうわごとを言う」などと表現しますが、これは脳が熱に弱いことを示唆しています。それだけでなく脳は人体で最も多量のエネルギーを消費し、多量の熱を産生する場所です。従って脳の機能を維持するためには、有効な「冷却装置」を必要としますが、最も強力な冷却装置こそ、実は汗を生み出す「汗腺」なのです。
人間は脳を優先的に守る必要性から低めの体温を受け入れていますが、実は36.5℃という体温は、人体全般が許容できるギリギリの低い体温といえます。というのは、体内で化学反応を起こすための酵素が働ける温度の範囲が36~42℃であり、36℃以下では酵素が充分に働けなくなるためです。つまり35℃台あるいは34℃台という低体温では、体の営みが充分に発揮できていない可能性があるのです。

そのためにシワ寄せを食っている臓器や組織があちこちにありますが、その代表格は「腸」です・・(続く)

投稿者 蒲田よしのクリニック | 記事URL

2017年6月20日 火曜日

汗を「かけない」は危険!熱中症に繋がる低体温リスクとは

吉野です。皆さんこんにちは。梅雨入り後にも関わらず、関東から九州にかけては晴れの日が続いております。日差しの強い日は結構な暑さとなりますが、いかがお過ごしでしょうか。

さてこのブログでは少々珍しい政治のお話となりますが、先週の国会の不穏な動きには、とても驚いた方が多いのではないでしょうか。いわゆる「テロ等準備罪法案」の審議が続いていましたが、参議院に於ける夜を徹しての審議を経て、15日の朝に法案が成立しました。テレビで審議の様子を見ましたが、野党議員が口々に興奮気味で与党を非難するなど、大荒れの審議だったことがよく伝わってきます。
このブログは基本的に政治とは関係ないスタンスですので、法案の可否や政党の支持などを論ずることは一切しません。ただ正直な感想として、与野党ともに法案の深い議論をそっちのけで「政争」に明け暮れていた、という印象がぬぐえません。加計学園疑惑も横目で見ながら、何としても早く法案を通したい与党側と、何が何でも廃案に追い込みたい野党側との、泥仕合の様相を呈していた、というのが実感です。
徹夜の審議が終わり、目を充血させて「疲れました・・」とつぶやく議員の姿が印象的でした。睡眠を犠牲にして緊張が続く審議に臨んだのですから、それは極度の疲労でしょう。心からお疲れ様、と言いたいです。並の人間に議員は務まらないな・・とも改めて感じました。そうであればなおさら、このような顛末で法案が成立し、有権者の不安や不信感が広まってしまうとすれば、実にもったいない話ではあります。

国会といえば私は先月、永田町の国会議事堂を見学してきました。5月後半の日曜日に国会のうち参議院が開放され、一般の人が自由に内部を参観できたのです。前日にテレビのニュースで案内があったため、喜び勇んで出かけました。国会議事堂を一般人が見ることは出来ないと諦めていましたが、「国会をもっと国民に身近な存在に」という近年の国策により、議事堂の一般公開に舵を切ったため、期せずして見学できました。
予想より多くの人が見学に来ており、少し驚きました。全体で何百人いるでしょうか。来場者は年配の人が主体でしたが、若い人も少なくありません。中央塔のステンドグラスはとても荘厳で、感動的でした。調度品の数々も重厚で、文化財級の物も多数あります。何より感激したのが、国会中継などでお馴染みの扇型をした「本会議場」に入れたことです。まさかそこまで入れてくれるとは思いませんでした。
本会議場にズラリと並んだ議員席には、それぞれの議員のネームプレートが配置されています。有名な議員の名前も少なくありません。これらのプレートを眺めながら、ふと議員の「意気込み」というものを考えました。この意外と狭くて古風な椅子を獲得、あるいは維持するために、議員は「選挙」の洗礼を受けるほか、様々な挑戦をし、数々の試練を乗り越えるのです。やはり「並の人間」では務まらないな、と思いました。

さて前回は、夏の暑さが厳しくなるのと並行して、夏バテや熱中症に罹る人が増えてきている現状を説明しました。さらに暑くなったのは地球温暖化やヒートアイランド現象の影響があるとしても、夏バテ等が増えているのはそういう環境要因だけでなく、人間の側にも要因がありそうだ、とお話しました。実はその要因の一つに「体温」という問題が横たわっているのです。

昨年夏の7月から8月にかけても何回かのシリーズで、夏バテ対策の一環として「低体温」の問題を取り上げました。夏バテや熱中症に罹りやすい人によく見受けられる特徴の一つとして、体温が低い、体が冷えている、という事が挙げられます。人間の体温は36.5℃前後に設定されていますが、35℃台の人が増えており、34℃台も珍しくありません。そのような低体温では、暑さや温度変化に弱くなってしまうのです。
体温の低さとともに「汗をかけない」人も増えてきています。冷房の効いた部屋で一日中過ごしているため、結果として汗を「かかない」傾向があるだけでなく、暑い環境や運動などの温熱刺激を受けても、容易に汗を「かけない」人がたいへん増えているのです。汗をかかないだけでなく、汗を「かけない」事が常態化すると、とりわけ暑い夏場に様々な健康上の問題点が顕在化してきます。

体温が低くて汗をかけない状態が続くと、具体的にどのような不都合が生じるのでしょうか。汗という物はベタベタして嫌だという人が多く、また臭いの元ともなるため、ともすれば厄介者扱いされがちですが、汗という物は元来「体の熱を冷ます」という大切な役割があります。もし充分に汗をかけない状態が続くと、異常な暑さのなかで効率的に体を冷ますことが出来ないために、暑熱による障害が起こりやすくなります。
すなわち猛暑日のように異常な暑さ、或いは運動中に体温が急速に上がった場合に、本来ならば速やかに汗をかいて熱を冷ますべき場面で、汗をかけないばかりに熱が発散せず、体温が異常に高くなってしまいかねません。これが嵩じると中枢神経をはじめ全身各所に障害が生じ、一連の「熱中症」を発症しやすくなるのです。このように汗をかけないという事は深刻な健康障害を招き、場合により命にも関わってきます。

汗をかけないことは、実は回りまわって「夏バテ」にも繋がってきます・・(続く)

投稿者 蒲田よしのクリニック | 記事URL

2017年6月 6日 火曜日

「暑く長く」なる夏!熱中症&夏バテ急増の真の原因とは?

吉野です。こんにちは。蒸し暑い日が増えてきましたが、皆さんお元気でしょうか。

6月に入り、関東でも梅雨入りが秒読みの段階となってきました。5月末は各地で30℃前後という真夏並みの暑さとなり、早くも夏バテ気味の方が続出していましたが、そのような真夏の「予行演習」も一段落となり、雨雲の発生が盛んになってきました。実際に数日前にも、晴れていたと思ったら急に空が暗くなり、いきなり雷鳴とともに大粒の雨がゴーッと降ってきました。いよいよ日本版「雨季」の始まりが近いようですね。
また雨の日は別にして、日差しがとても強くなっています。真夏を前にして、色よく日焼けしている方も目立ってきました。それと並行して、吹き出物など肌荒れの悩みを抱える方の来院も少なくありません。いうまでもなく6月は最も日が高く上がる月です。日差しも当然強烈になり、気温の上昇と伴に汗の量も増えるため、肌のトラブルが発生しやすくなるのです。

前回のコラムでは、7~8月の本格的な「盛夏」を迎える前のこの時期に、猛暑への対策を取っておいた方が良い、と説明しました。今は暑くなるといっても、せいぜい30℃前後であり、さすがに35℃以上の猛暑日とはなりません。また朝晩は20℃前後またはそれ以下まで冷え込み、熱帯夜ともなりません。すなわち暑さには未だ余裕があり、対策も取りやすいのではないかと思うのです。
梅雨明け後の本格的な暑さを迎えてから暑さ対策を考えても良いのではないか、という見方もありますが、35℃前後の猛暑、夜も25℃以上の熱帯夜となってから取れる対策は限られてきます。猛暑の中でのスポーツというのも危険性があります。従って気候的に余裕のある今のうちに「暑さに強い体」を手に入れておき、いよいよ猛暑となったら熱中症にならないように注意して過ごす、という2段構えの対策が望まれます。

それにしても近年の夏は、暑さの程度が以前よりもたいへん厳しく、なおかつ持続期間がとても長くなってきています。35℃以上の「猛暑日」は、私が子供の頃などは滅多になかったのですが、近年は各地で競うように猛暑日のオンパレードです。年によっては40℃越えの「超猛暑日」も散見するようになりました。夜の暑さもひどいもので、最低気温25℃以上の「熱帯夜」が増え、時には30℃を越えることもあります。
暑さの持続期間もかなり長くなってきています。例えば5月は「初夏」と呼ばれ、カラッと晴れる事が多いのですが、以前ならば気温は20℃台前半に留まることが多かったものです。ところが近年は早くも30℃を超えるまで暑くなる日も散見するようになりました。同様に9月は「初秋」といって、めっきり涼しくなる頃のはずですが、最近はまるで真夏のような暑い日が9月、あるいは10月前半まで延々と続きます。

そのような近年の「非常に暑く長い夏」を反映してか、熱中症や夏バテに陥る人が年々増えてきています。統計的にも熱中症で救急搬送される件数は、年度による変動はあるものの全体として明らかに増加傾向ですし、臨床現場に於ける実感としても、熱中症や夏バテに起因する各種の体調不良に関する診察依頼や健康相談は、年を追うごとに増えてきています。
実際に蒲田よしのクリニックに於いても、とりわけ急に気温が上がった日やその翌日を中心に、「暑くて体がだるい」とか「食欲なくてフラフラする」などと訴えて来院する方が大勢おります。多くの方がプラセンタ注射やマイヤーズカクテルなどのビタミン点滴を受け、人によってはビックリするほどの改善が見られますが、このような体調不良は繰り返しやすく、暑くなるたびに訪れてくる「常連さん」も少なくありません。

さてそのように夏の暑さが過酷となり、また熱中症や夏バテにかかる人が増えている原因としては、何が考えられるでしょうか。よく指摘されるものの一つが地球の「温暖化」です。二酸化炭素(CO2)排泄量の増大などを背景として地球全体の平均気温が上昇しているのは確かで、日本だけでなく世界各地で高温に起因する異常気象や海面上昇、大型台風などによる風水害が発生しています。
都市部を中心とした「ヒートアイランド現象」もこれに拍車をかけています。東京などの都市部に於いては、人口集中やエアコンの普及、自動車など交通の発達、高層ビルの乱立などの要因により、気温の上昇が周辺部に比べ著しくなっています。真夏日の日数は、ここ30年で倍以上となった地域が多数あります。真夏の東京や大阪ではビルからの排熱が街中にあふれ、深呼吸するのも楽ではないほどです。

とはいえ熱中症や夏バテにかかる人が激増しているのは、地球温暖化やヒートアイランド現象による気温の上昇だけでは説明がつかない、というのが現状です。というのは、都市部に負けずに郊外や地方に於いても熱中症や夏バテは多発していますし、猛暑とはいえない5~6月や9~10月にも罹患者が少なくありません。さらに以前は子供や老人が中心だった罹患者が、近年では勤労者などでも明らかに増加しています。
そうだとすると、気温の上昇といった環境要因だけでなく、我々人間の側にも熱中症や夏バテに罹りやすい要因がある、と考えた方が妥当かと思います。すなわち同じ夏の暑さでも、熱中症などに罹りやすくなってしまったのです。実際に高齢者は平気でいる一方で、若者が夏バテで寝込んでいる、などという「逆転現象」も方々で起こっています。なぜ現代人は、暑さに弱くなってしまったのでしょうか。

夏バテになりやすい人を観察していると、幾つかの特徴が見てとれます。それは一つには「低体温」があります・・(続く)

投稿者 蒲田よしのクリニック | 記事URL

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